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世紀の発見 磯﨑憲一郎
¥500
2009年出版、小説。 個人的に、「終の住処」「赤の他人の瓜二つ」とこの表題作はセットで読みたい三作のような感じがしています。 「絵画」という短編も併録されていて、こちらは自然の風景に足を止め生き物をじっと見つめたことのある人には響く話のように感じます。
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東京奇譚集 村上春樹
¥500
2005年出版、小説。 村上春樹は長編のタイトルの方がポピュラーですが、こういう短編集にも長編とは違う形でエッセンスが詰まっている感じがするというか、作家流のエスプリが利いた小料理という感じがして個人的に好きです。
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流跡 朝吹真理子
¥500
2010年発行、小説。 同年のドゥマゴ文学賞受賞作。 言葉を追いかけるうちに思いがけない場所へと移動していることに気づくような、不思議な読書体験をもたらす小説でした。 はじまりからおわりへドライブしていく形ではなく、不定形の何かが変形していくさまを文字数いっぱいでスナップショットのように切り取った作品というふうにも表現できるのではないかと思います。
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つむじ風食堂の夜 吉田篤弘
¥500
SOLD OUT
2002年刊行、小説。 感覚的な比喩になりますが、ミルクの入った白いパンのように柔らかくて、それでいてクロワッサンのように洒脱な、とにかくお腹が温まるような読み味の小説だと感じます。 小説の舞台である架空の町・月舟町とその住人たちがすっかり好きになり、自分も登場人物としてお邪魔したいな〜と、読み終わったあとにぼんやり夢想するのもまた一興。
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オブ・ザ・ベースボール 円城塔
¥700
2008年刊行、小説。 2007年の文學界新人賞受賞作品です。 「つぎの著者に続く」併録。 個人的には、この本で初めて円城塔を読んだときの感想は「衝撃」を通り越して「困惑」という感じでしたが、今や買った作品は線を引きながら読み返すようになりました。
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実験する小説たち 木原善彦
¥1,800
2017年刊行の実験小説ガイド・解説書。 文学にガイド本から入るのは邪道という向きもあるかもしれませんが、物語に興味がなくて小説をあまり読まない…という人にはかなりおすすめの一冊。 解説がメインではありますが、これを読んだからといって面白さが減るという類のものではなく、あくまで本編を読むのを焚きつけてくれるエキサイティングな文章だと感じます。 これだけ多くの難解な小説を読破し、解説している筆者にも震えます。
